ブランドカラーの決め方—色彩心理と業種別の選び方
ロゴ・名刺・看板・WEB・パッケージ・SNSヘッダー—ブランドのあらゆる接点に通底するのが「ブランドカラー」です。一度決めたら5年・10年と使い続ける重要な選択を、好みや勘で決めてはいけません。今回は、色を選ぶときの土台となる知識と、TANTOMAが現場で使っている考え方をまとめました。
色が持つ「世界共通の母語」
色彩心理学は文化を超えて一定の傾向があることが、複数の研究で示されています。代表的な印象を整理すると次のとおりです。
青=信頼・誠実・知性・テクノロジー。金融・士業・IT・医療に多用される定番色。
緑=安心・自然・成長・健康。教育・農業・環境系・薬局に親和性が高い。
赤=情熱・行動・食欲・緊急性。飲食・スポーツ・セールに有効、ただし疲労感も生む。
黄=明るさ・親しみ・遊び心。子ども向け・キャンペーン・カジュアル業態に。
紫=高級・直感・神秘・創造。化粧品・スピリチュアル・芸術系に。
橙=元気・温かみ・親しみ。スポーツ・ファミリー・カフェに。
黒=力強さ・洗練・高級・権威。ハイブランド・モード・BtoB高単価。
白=純粋・清潔・余白の力。医療・無印良品的ミニマル系に。
業種別の「定番」と「外し」
業種ごとに「期待される定番色」があります。金融=青、医療=緑、士業=濃紺—これらは「無難な選択」として機能します。一方で、定番にハマりすぎると「同業他社と区別がつかない」という別の課題が生まれます。
差別化を狙うなら、同業20社のサイトを並べて、業界の標準色を可視化することから始めます。そこで使われていない色を選ぶことで、第一印象の段階で抜きん出ることができます。たとえば「BtoB系で珍しいテラコッタ色」「カフェ業界で珍しい深い藍色」など、「業界の文脈の中で新鮮」な選び方が、印象に残るブランドを生みます。
1色ではなく「カラーシステム」で考える
2026年のブランディングでは、もう「メインカラー1色」では足りません。Webデザインのトレンドでも触れたとおり、ライト/ダークモード・ホバー状態・アクセント・エラー・成功—複数の文脈で色が必要です。
TANTOMAでは次の構成でカラートークンを設計します。Primary(主色):最も多く使う、ブランドの顔。Secondary(副色):Primaryを支える、サブ要素用。Accent(差し色):CTAボタン・強調用、最小面積で最大効果。Neutral(中性色):背景・テキスト用のグレースケール5段階。これらを最初に整えると、後の運用が劇的に楽になります。
WEBで使うときの注意:アクセシビリティ
WCAGのコントラスト比基準は、文字と背景で最低4.5:1(本文)、3:1(大きな文字)です。ブランドカラーが薄い色や鮮やかなビビッド系の場合、白い背景に乗せると読みづらくなります。
そこで「ブランドカラーの基本値」と「Web用の調整値」を分けて持っておくことが現実的です。たとえば名刺やパッケージで使う基本値の青を、Web上では少しだけ暗く調整して可読性を担保する—こうした「印刷とWebの2系統管理」が、ブランドの一貫性と実用性を両立させます。
退色を見越した屋外用の選び方
看板やサインで使う色は、紫外線で確実に褪せます。特に赤系・紫系・蛍光色は退色が早い。屋外用には、最初から「少し濃いめ」「やや鈍めの彩度」で色を起こすか、退色しにくい顔料インクで仕上げる選択肢があります。
多接点で「同じ温度」に揃える
ブランドカラーの本当の力は、「単体での美しさ」ではなく「あらゆる接点で繰り返されること」にあります。ロゴ・名刺・WEB・看板・封筒・SNS—すべてで同じ色を見せ続けることで、お客様の記憶に色とブランドが結びつきます。
まとめ:色は「好み」ではなく「逆算」
「好きな色」ではなく「届けたい印象から逆算する色」。決まった一色は、ブランドのあらゆる接点で繰り返されることで力を持ちます。TANTOMAでは、初回ヒアリングからカラー選定までを一緒に進めるプロセスを大切にしています。















